インフルエンザウイルスの予防接種
インフルエンザワクチン(予防接種)は季節性インフルエンザの感染・重症化を避けるために接種するものです。
インフルエンザウイルスを不活化(ウイルスとしての機能を喪失)または弱毒化(ウイルスとしての機能を弱体化)したものを体内に接種することで、インフルエンザウイルスに対する免疫を記憶・強化していきます。
主に10月ごろから接種が始まり、年末から年始にかけての流行に備えることになります。
当クリニックでは9月から11月にかけての期間をインフルエンザワクチン接種の強化月間として対応させていただきます。
<インフルエンザワクチン接種についてのご案内>
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®️):1回 8000円
不活化インフルエンザワクチン:1回 3000円
インフルエンザ予防接種予診票を記載してお持ちください。
予診票(PDF)
【経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト®️)】* 2歳から19歳未満が対象です
【不活化ワクチン】* 生後6か月から接種可能です
* 生後6か月から12歳までは原則2回の接種が必要です
インフルエンザワクチンは任意の予防接種ですが、当クリニックでは特に以下のようなお子様・ご家族様に接種をお勧めしております。
【当クリニックが接種をお勧めするお子様】
| 接種が推奨される人 | 理由 |
| 乳幼児〜未就学児(生後6か月〜5歳頃) | 感染が重症化(急性脳症、敗血症など)しやすいため |
| 熱性けいれん、てんかんなどの神経の病気がある人 | 感染で発作が悪化する可能性があるため |
| 気管支喘息などの肺の病気がある人 | 感染で咳などの症状が悪化する可能性があるため |
| 心臓に病気(先天性心奇形など)がある人 | 感染で心臓に強い負担がかかる可能性があるため |
| 腎臓に病気(蛋白尿・血尿など)がある人 | 感染で腎臓に強い負担がかかる可能性があるため |
| 家族内での流行を避けたい人 | 免疫の弱い人を守りたいなどの理由で家族内の流行を避けたい場合 |
| 受験生とその家族 | 大切! |
インフルエンザワクチンによる予防効果を最大化するのは”家族みんなで接種すること”です。
当クリニックではお子様と同時にご家族様の予防接種も行なっておりますので、ご利用ください。
【インフルエンザワクチンの種類】
小児のインフルエンザワクチンには不活化ワクチンと弱毒生ワクチンの2種類があります。それぞれに異なる特徴があり、ご家族様のご都合に合わせた選択を行うのが良いと思われます。
①不活化インフルエンザワクチン
不活化(ウイルスとしての働きを完全に喪失)させたインフルエンザウイルスを注射によって体内に投与する予防接種です。生後6か月から成人まで接種することが可能で、小児(生後6か月〜13歳未満)では2回の接種が推奨されています。
比較的安価ではありますが、年齢によっては追加の接種が必要で、接種時(注射)に痛みを伴うのがデメリットです。
副作用としては、接種部位の痛みや腫れ、発熱といったものがあります。
②経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®️)
弱毒化(ウイルスとしての働きを十分弱体化)させたインフルエンザウイルスを鼻腔粘膜の吹きかける予防接種です。2歳から18歳までの小児で接種することが可能で、1回のみの接種が推奨されています。
比較的高価ではありますが、追加接種は不要で、接種時(噴霧)に伴う痛みがないのがメリットです。
副作用としては、生ワクチンであることから軽いインフルエンザ症状(咳・鼻汁・発熱)が起こることがあります。
また、稀ではありますが、接種者から他の家族へウイルスが移る可能性があります。そのため、ご家族に免疫不全(免疫の働きが極めて弱くなっている状態)の患者様がいる場合には、不活化インフルエンザワクチンの接種をお勧めしております。
表)インフルエンザワクチンの種類と特徴
| ワクチンの種類 | 不活化ワクチン | 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト®️) |
| 接種可能年齢 | 生後6か月から大人まで | 2歳から18歳まで |
| 接種方法 | 注射 | 経鼻噴霧 |
| 接種時の痛み | あり | なし |
| 接種回数 | 2回:生後6か月〜13歳未満 1回:13歳以上 | 1回:2歳〜18歳 |
| 効果が出るまでの期間 | 2週間程度 | 2週間程度 |
| 効果の持続期間 | 半年から1年* | 4〜5月 |
| 費用 | 安価 (1回 3000円)* | 高価 (1回 8000円)* |
| 副作用 | 発熱 接種部位の痛み・腫れ | 発熱・鼻汁など(インフルエンザ症状) |
*当クリニックでの接種価格になります。
*経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト®️)の興味深い話し
フルミストは弱毒化したインフルエンザウイルスそのものを使用しています。
弱毒生ワクチンでは、免疫獲得の機序の違いから不活化ワクチンとは異なる特徴を持つと考えられています。
主に不活化ワクチンはIgGという抗体(ウイルスや細菌を攻撃するための武器みたいなもの)を利用して、感染を予防するとされます。一方で、弱毒生ワクチンはIgGだけでなく鼻腔粘膜IgAやT細胞が感染の予防に関与することが示唆されています。
複数の免疫システムが関与することで、弱毒生ワクチンでは不活化ワクチンと比較して長期間(約6か月〜1年)にわたって予防効果を認めたとの報告があります。Belshe et al., N Engl J Med(2007)
また、弱毒生ワクチンを2シーズン(2年)連続で接種することで、1シーズンのみの接種と比べて有効性が上昇する可能性も報告されています。Caspard et al., Hum Vaccin Immunother(2016)
ただ、1シーズンごとの予防効果については弱毒生ワクチンと不活化ワクチンで大きな差がないとの報告もあるため、弱毒生ワクチンの方が絶対に良いとは言いきれないようです。Kitano et al., Hum Vaccin Immunother(2026)
これらのことを踏まえると、受験を控えているお子様では、少なくとも受験の前の年から弱毒生ワクチン(フルミスト)を接種し始めることで予防効果を最大化することができるかもしれませんね。
また、効果が長く続くのであれば、通常の接種開始時期(10月頃)よりも早期(9月頃)に接種したとしても、流行シーズン(11月〜2月)を十分カバーできるかもしれません。

もし、インフルエンザウイルスの予防接種について質問やスケジュールの相談などがありましたらいつでもご相談ください。
武田薬品工業株式会社「みんなのワクチンナビ」:インフルエンザワクチンの接種を受ける方へ
第一三共株式会社「インフルニュース」:インフルエンザについて