小児神経内科とは
本来、神経内科とは、脳や脊髄、末梢神経、筋肉等の病気について診療を行う診療科です。
小児神経内科では、それらに加えて小児期特有の未熟性を考慮した診療を行う必要があります。
当クリニックでは様々な神経の病気を経験し、小児神経専門医の資格を習得した医師が診療を行います。
熱性けいれん
熱性けいれんは小児神経内科の領域で最もポピュラーな病気(症状)です。
主に生後6か月から6歳ごろまでのお子様が、発熱に伴って起こすけいれんです。原因として脳が未熟であるために発熱時の脳細胞の興奮を抑えきれなくなるからだと考えられています。
熱性けいれんの大半は数十秒から数分で自然に終了し、後遺症を残すことはほとんどありません。ただし、けいれんは見た目が派手であるために初めてみる人はパニックになってしまうことがあります。
そのため、あらかじめお子様に熱性けいれんが起きてしまった時のことを想像して知識を得ておくことは大変有用かと思います。
熱性けいれんが起きた時の3つのポイント
- point 1:周囲の安全を確保する(車を路肩に止める、お風呂から出る)
- point 2:けいれんの持続時間を測る(可能なら動画を撮影する)
- point 3:右を下にして横を向かせる(回復体位) *嘔吐で窒息しないように!
熱性けいれんが起きた時には、まず親御さんが落ち着いて対応することが重要です。
では次に、どのような時に救急車を呼べばいいかをお伝えします。
熱性けいれんで救急車を呼ぶタイミング
- 始めての熱性けいれん
- けいれんが5分以上続く場合
- けいれんが1日に2回以上あった場合
- けいれん後に目が覚めず、呼吸が変、手足に力が入っている、目が片方によっているなどの異常を認める場合
- 【重要!】不安でパニックになりそうなら救急車を呼んでください!!
救急車を呼ぶタイミングは指導を行う医師によって多少差異があると思いますが、我々はお子様の安全を考慮して上記のように指導を行っております。
熱性けいれんは頻度の多い症状であるにも関わらず、判断に専門的な知識・経験が必要になることが稀ではありません。もし、けいれんが止まっていたとしても不安が残るのであれば、念の為小児科外来に受診をすることも選択肢として考慮してください。
最後に、ご家庭でできる熱性けいれんの対策についてご説明します。
熱性けいれんの対策としてご家庭で注意してほしいこと
- 発熱時には無理な外出や入浴をさける
- 元気なうちに可能なかぎり水分・食事摂取をさせる
- 不安定な体勢(抱っこ)のまま子供を眠らせない
- 眠る前に解熱剤を使用して睡眠導入を助ける *浅い睡眠はけいれんのリスク!
熱性けいれんは後遺症なく、成長によって治癒することがわかっていますが、けいれんの頻度があまりに多い場合には薬(坐薬・内服)によって予防する場合もあります。
【予防治療の例】 発熱時の坐薬 ダイアップ坐剤
定期内服の薬 バルプロ酸ナトリウムなど
もし、熱性けいれんの対応・予防について不安・心配なことがございましたら、ぜひ当クリニックへご相談ください。
てんかん
てんかんとは、脳の神経細胞(ニューロン)が一時的に過剰な電気活動を起こすことで痙攣などの「発作」を繰り返す病気です。小児期では100人に1人程度が発症するため、小児神経内科の領域では決して稀な病気ではありません。
小児のてんかんを疑うには、まずにはまずてんかんの症状を知る必要があります。
小児のてんかんではさまざまな発作の形式があり、小児神経内科での診断はまずそれを詳しくお聞きすることから始まります。
てんかんの発作を疑う症状
- 意識を失い、全身に力が入り、その後ガクガクと震える
- 手足が勝手に動く、突然の不安や異常な感覚(匂いなど)を訴える
- 声かけに反応がなく、意味のない動き・言葉を繰り返す
- ぼーっとすることが多くなる、ぼーっとしている間は声かけに反応がない
- 突然に手足が一瞬「ビクッ」と短く動く、物を落とすことが多い
- 赤ちゃんが突然頭を下げて、両腕を広げて突っ張るような動作を繰り返す
上記の症状はてんかんにおける発作形式のほんの一部です。
他にもさまざまな発作形式があり、判断が難しい症例も少なくありません。実際に発作がてんかんによるものかどうかを判断するために、発作を動画に残していただくのが有効です。
小児期に発症するてんかんは、脳の未熟性と関連し、脳の成長・発達に伴って自然と治癒するものが多いと考えられています。なので、たとえお子様がてんかんを発症したとしても、大人になる前に治癒する可能性が十分あるのだと考えてください。
ただし、自然治癒が見込まれる病気であっても、てんかんは発作によって怪我をしたり、事故に巻き込まれることがあるため、治療による発作管理が推奨されます。
当クリニックの小児神経内科外来では、てんかん患者様の治療についてご相談いただくことが可能です。ただし、当クリニックでは脳波検査や頭部MRI検査を行うことができないため、それらの検査を他の医療施設へ依頼することなりますのでご了承ください。
本項の最後にてんかんの患者様向けの生活指導を記載させていただきます。
ご家庭でてんかん患者様に注意していただきたいポイント
- 薬を飲み忘れない工夫をする(食事の最後のお皿として出すなど、習慣化が大切)
- 寝不足に気を付ける
- 体調が悪い日は体育の授業や屋外活動で無理をしない
- 電車やバスを待つ時は線路や道路から少し離れて待つ
- ゲーム・動画視聴など脳への刺激を抑制する(特に夜・眠る前は注意)
- 【最重要】お風呂では絶対に眠らせない!!
- 【最重要】お風呂に入る時は必ず誰かが駆けつけられるようにする!!
てんかんの生活指導で最も大切なのは、てんかん発作を最悪の場所とタイミングで起こさないようにすることです。特にお風呂場では命に関わる事故が多く報告されています。
お風呂場では、「反応がない時や大きな物音がした時には、家族が中を絶対に確認する!」といったルールを設けるようが良いでしょう。
最後にてんかんのお子様を持つご家族様にお伝えしたいことがあります。
それは「てんかんであったとしても、適切に治療管理を行えば他の子供達と同じように生活できる、幸せになれる」ということです。
ご家族様にとって、お子様が病気というのは本当に不安になることだと思います。しかし、お子様を過剰に保護することは自立心・自尊心を育む上で決して良いとは言えません。だからこそ、何が恐ろしいのかを明確にして、安全を確保した上でいろいろな挑戦をさせてあげてください。
皆様の心配・不安に応えるために私たちは誠実に説明をさえていただきます。
てんかんについてのご相談があればなんでもお聞きください。
チック症(トゥレット症候群)
チック症とは、本人の意思とは関係なく、素早い体の動き(運動チック)や発声(音声チック)が繰り返される状態です。主に児童精神科や小児神経内科で診療が行われています。
*トゥレット症候群:運動チックと音声チックの両方が1年以上持続する場合に診断
多くは4〜7歳ごろに始まり、10〜12歳でピークを迎え、青年期に改善傾向となります。ただ、1%は成人期まで持ち越されることがあります。
大半が自然に軽快することから問題とされないこともありますが、症状のせいで本人の日常生活に支障をきたす(自信をなくす、勉強に集中できない、よく眠れないなど)場合には治療が検討されます。
チック症の治療としてまずお勧めしているのは、生活習慣・環境の整備です。チックに対しては強く止めるのではなく、「必ずよくなる」と安心させてあげてください。また、睡眠時間を十分に確保すること、ゲームや動画視聴を制限することも有効です。その場合には、家族間でルール(○時にはベッドで眠る、ゲームは○時間まで、など)を設けて守るように促してください。
上記の生活指導でも改善がなく、ご本人・ご家族が治療を希望される場合にはCBIT(チックのための包括的行動的介入)や薬物療法が検討されることになります。
また、チック症には注意欠如多動症(ADHD)や強迫性障害(OCD)などの疾患を合併していることがあり、発達検査が必要になる場合も少なくありません。
当クリニックでは小児神経内科として、初診の患者様に生活習慣や環境の調整を行うための生活指導を行っております。それでも改善がない場合には、合併症の有無を確認しながら、お子様にあった治療(CBITや薬物療法)を検討させていただきます。
もし、お子様のチックでお悩みであれば一度ご相談ください。
当診療科で扱う主な疾患
頭痛(片頭痛 等)、起立性調節障害、睡眠障害、発達の遅れ、てんかん、不登校 など
検査について
神経の病気を診断するためには頭部MRI検査や脳波検査といった高度な検査が必要になる場合があります。
当クリニックは地域に根ざしたホームドクターの様な役割をになう施設であるために、高度な検査設備を保有しておりません。
診察の結果、診断をつけるための検査が必要と判断した場合には、医療連携している総合病院や専門医療機関を紹介いたします。