アレルギーとは
私たちの体内には異物を排除する免疫システムが備わっています。本来、無害な物質が体内で異物(アレルゲン:アレルギーの原因となる物質)と判断され、免疫システムが過剰に反応してしまいさまざまな症状(くしゃみ、鼻水、発疹、嘔吐・下痢など)を引き起こしてしまう状態をアレルギーと呼びます。
小児のアレルギーの特徴で最も重要なのが、「アレルギーマーチ」という概念です。「アレルギーマーチ」というのは、乳児期のアトピー性皮膚炎から始まり、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎といった異なるアレルギー症状が次々と出現する状態を指します。
つまり、将来の気管支喘息やアレルギー性鼻炎が、乳児期のアトピー性皮膚炎から始まっているということです。乳児期からのお肌のケアがとても大切だと言えます。
乳幼児のお肌トラブル
乳幼児のお肌トラブルはアレルギーマーチにおける最初のトラブルと言われています。
原因として多いのは、よだれや食べ物、洋服などの刺激によってお肌のバリア機能に障害が発生し、そこからアレルゲン(抗原)が侵入してアレルギー反応が起こります。
よって、乳幼児のお肌トラブルの対処法として最も有効なのが、バリア機能の障害を「予防」することです。みなさんが行なっている保湿剤による治療がこれに当たります。
また、一度バリア機能が障害された場合には、機能の回復のために「治療」が必要となります。医療施設で処方されるステロイド外用による治療がこれに当たります。
乳幼児のお肌トラブルに対応するには、この「予防」と「治療」がとても大切です。
ご自宅でできる乳幼児のお肌トラブル対策
- 石鹸をしっかりと泡立てて、手で優しく洗う(石鹸は界面活性剤に注意)
- 石鹸を使った後にはすすぎ残しがないようにしっかりお湯で流す(石鹸が残ると刺激になる)
- 保湿剤を1日2回は塗布する(市販薬でもOK、当クリニックではオススメの処方あり)
- お洋服の素材・洗剤に注意する(肌着や洗剤・柔軟剤が合わない子もいます)
- お部屋をきれいに保つ(ほこりやダニ、犬・猫のふけなどを取り除く)
ご自宅でできる対策は入浴前後が最も大切です。
適切な石鹸(弱酸性・低刺激のベビー用全身シャンプーなど)を使用し、優しく手で洗ってあげてください。また、洗った後には関節や首周りに石鹸のすすぎ残しがないように、お湯でしっかりと流してください。石鹸が残ると界面活性剤などによる刺激が残り、湿疹の原因になります。
保湿剤を塗る場合、入浴後のしっとりとしている時がオススメです。ただし、保湿剤によっては体が真っ赤になってしまうなどのトラブルもあるため注意が必要です。特に、入浴後に体が赤くなって痒みが増す場合には、当クリニックへご相談いただいた方が良いかと思います。
また、赤ちゃんの肌着については、綿(コットン)100%が好まれていますが、汗や皮脂を吸いすぎてしまったあり、古くなったものでは繊維が毛羽立ってしまい摩擦が逆に刺激になったりもします。肌着を着る前に保湿剤を塗るようにしたり、古くなったものは新しく肌触りの良いものに変更するなどの工夫が必要になります。
上記のようなご家庭でできる対策は主に「予防」が目的となります。もし、すでに湿疹ができている場合には「治療」が必要となります。
お子様の皮膚トラブルでお困りの際には、ぜひ当クリニックへご相談ください。
また、当クリニックは名古屋市中村区本陣駅近くの「そうごうメディカルモール+care本陣2階」にあることから、同施設内の「せきや医院(皮膚科・婦人科)」と乳幼児〜小児の皮膚治療について連携・協力を行なっております。
赤ちゃんのお肌をまもりたい!!!
本陣こどもクリニックをお願いいたします。
花粉症・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎
アレルゲンが鼻や目の粘膜に侵入することによって様々なアレルギー症状を引き起こしている状態です。日本でもっともポピュラーなのが花粉症で、高須先生もスギ花粉に苦しんでいます。
植物の花粉が原因となる花粉症は、原因になる植物によって症状が出現する季節が異なってきます。季節ごとに有名な花粉症をまとめました。
| 季節 | 植物の種類 | 飛散時期 | PFAS* |
| 冬〜春 | ハンノキ | 1月〜4月 | バラ科(りんご、ももなど) マメ科(大豆、ピーナッツなど) マタタビ科(キウイ) カバノキ科(ヘーゼルナッツ) |
| 春 | スギ | 2月〜4月 | ナス科(トマト) |
| ヒノキ | 3月〜5月 | ー | |
| 春〜初夏 | シラカンバ | 4月〜6月 | ハンノキと同様 |
| 初夏 | イネ科 | 5月〜7月 | ウリ科(メロン、スイカ) ナス科(トマト) マタタビ科(キウイ) ミカン科(オレンジ) マメ科(ピーナッツ) |
| 初夏〜秋 | ブタクサ | 8月〜10月 | ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ) バショウ科(バナナ) |
| ヨモギ | 8月〜10月 | セリ科(セロリ、ニンジン) スパイス類(クミン、コリアンダー) ウルシ科(マンゴー) | |
| カナムグラ | 9月〜10月 | ー |
*PFAS (花粉-食物アレルギー症候群):花粉症の人が特定の食物を食べた時に喉がイガイガしたりする病気。花粉と食物の交差反応が原因とされる。
花粉症の主な症状は、くしゃみ・鼻水、目の痒み・違和感、喉の痛みなど人によって様々な症状を認めることがあります。そのため、それぞれの症状にあった治療(内服、点鼻薬、点眼薬)が必要になります。
当クリニックのアレルギー外来では、お子様の年齢・症状にあった治療をご提案させていただきます。また、6歳以上のお子様でご希望の場合には血液検査によるアレルギーの精査を行うことも可能ですので、ぜひご相談ください。
*当クリニックではご家族様のアレルギー症状に対しても処方を行うことが可能ですので、もしご希望でしたらお申し付けください。
また、ハウスダストやダニ、犬・猫に対するアレルギーや草本植物の花粉症(イネ科やブタクサ・ヨモギなど)は避けることができるものになります。お家をきれいに保つ、雑草の多い道をさけるなどの工夫が有効です。
ちなみに、スギなどの樹木系の花粉は数十km飛ぶので避けるのは難しいです。マスクとゴーグルで防御するか、諦めて治療しましょう。
高須先生も諦めて治療してます。
新しい治療方法について
アレジオン眼瞼クリーム
花粉症などの目の痒みに新しい外用薬が2024年に発売されました。
点眼が苦手なお子様にも1日1回上下のまぶたに塗るだけで治療が可能です。特に痒みでまぶたが荒れているお子様にはオススメです。
目の痒みは日常生活の質に大きく関わります。
もし、ご興味のある方はご相談ください。
ちなみに、当クリニックの医師・スタッフの使用経験ではかなり良い感じです!
参天製薬株式会社HP:アレジオン®️眼瞼クリームをご使用の患者さんへ
舌下免疫療法(スギ・ダニ)
近年、スギやダニアレルギーの患者さんに少量のアレルゲンを投与し続けることによって免疫細胞を慣らしていく治療(舌下免疫療法)の有効性が報告されています。
特に発症から早期(小児期)で開始するほうが、症状の改善や寛解の望めるという報告が国内外で多くなされています。
また、前述のアレルギーマーチを止めるためや鼻粘膜のリモデリング(粘膜肥厚で)を防ぐためにも、発症からなるべく早い時期に治療を開始することが推奨されています。
治療開始可能な年齢:5歳以上
治療継続が推奨される期間:3〜5年
*スギ花粉の場合、花粉の飛散時期を避けて治療を開始するほうが安全と言われています。
高校受験や大学受験といった人生における大切な時期を迎える前に治療を開始して免疫をととのえておくことが大切です。
もし、お子様の花粉症治療でお悩みの場合には当クリニックへご相談ください。
鳥居薬品株式会社HP:アレルゲン免疫療法ナビ
アトピー性皮膚炎
赤ちゃんの肌荒れとは異なり、小児のアトピー性皮膚炎は「皮膚のバリア機能低下」と「免疫の過剰反応」が組み合わさった慢性的な病気です。
前述したようにアトピー性皮膚炎から他のアレルギー性疾患(花粉症、喘息など)を発症するアレルギーマーチを防ぐことが重要となります。
アトピー性皮膚炎の治療には3つのポイント(治療、予防、環境調整)があります。
アトピー性皮膚炎の治療
- point1 治療:皮膚の炎症を治めるための治療で、ステロイド外用*が有効です。
- point2 予防:外からの刺激を防ぐため、保湿剤を適切に使用する。
- point3 環境調整:爪を短く切る。こまめに掃除してダニや埃を減らす。衣類を低刺激のもの**にする。
*ステロイドは「怖い」と思われがちですが、正しく使用すればとても安全な治療です。
**上記の「乳幼児のお肌トラブル対策」参照。肌着は綿100%が良いとは限りませんので、注意してください。
アトピー性皮膚炎の治療はこれらの3つのポイントを柱として継続していくのが理想です。
正直、どれも手間がかかる治療となりますが、手間をかければかけるほど皮膚がよくなるのも事実です。
また、小児のアトピー性皮膚炎は、特に多感な学童期における自尊心(自分の人格を大切にする気持ち、自分はここにいていいんだという肯定感)の形成や情緒の安定に大きな影響があるとされます。
「自分の肌は他人と違う」「他人の視線が気になる」「痒みで勉強に集中できない、夜あまり眠れない」といった悩みはとても辛いものです。
つまり、小児におけるアトピー性皮膚炎の真のゴールは「肌をきれいに保つことで、子どもたちが自信をもって外の世界に踏み出せるようにすること」です。
お子様のお肌とこころを守るお手伝いをさせていただきます。
アトピー性皮膚炎でお悩みの方はぜひご相談ください。
新しい治療について
コムクロ®️シャンプー
頭皮の湿疹は特に睡眠を阻害する、フケがひどくて嫌だなどの訴えが目立ち、患者様の生活の質を大きく低下させます。
いままで頭皮に使用できる治療薬としてローションタイプのステロイドが頻用されてきましたが、洗髪後に塗布するとなると頭皮がベタついて嫌だ、めんどくさいなどの問題がありました。
そんな頭皮湿疹の治療に新しい外用薬が発売されました。それがシャンプーとして使えるステロイド剤の「コムクロ®️シャンプー」です。
外用薬による治療とシャンプーを同時に行うことで、お子様やご家族様の手間を少なく済ませることができます。皮膚治療において毎日の手間を減らすことができるということはとても重要です。
コムクロシャンプーの使用方法
Step 1:コムクロシャンプーを必要量手にとり、頭皮が”乾いた状態で”湿疹に塗る
Step 2:湿疹に塗ってから15分間そのまま放置する
〜〜〜〜〜ここまではお風呂場じゃなくてもOK〜〜〜〜〜
Step 3:お湯または水をかけて指の腹でやさしく泡立てる
Step 4:洗い残しのないように全身をお湯または水で十分に洗い流す
頭皮のふけ・痒みを伴う湿疹にお悩みのお子様(原則は12歳以上)にオススメできる治療方法です。
デュピクセント®️
デュピクセントは2018年に承認された、アトピー性皮膚炎の治療薬です。それほど新しい薬とは言い難いのですが、とてもユニークな薬剤なのでご紹介させていただきます。
アトピー性皮膚炎の炎症の原因となる「IL-4」と「IL-13」という物質をピンポイントで抑制するお薬です。
生後6か月以上の乳児から使用可能*で、皮膚の「炎症」や「痒み」、「バリア機能低下」の全てに有効とされています。
*ただし処方するには、体重5キロ以上、適切なステロイド治療を6か月以上行っているといった条件が必要です。
投与方法は皮下注射になりますが、投与量と間隔は体重によって異なります。
| 体重区分 | 1回の投与量 | 投与間隔 |
| 60kg以上 | 300mgを1本(初回は2本) | 2週間に1回 |
| 30kg以上、60kg未満 | 200mgを1本(初回は2本) | 2週間に1回 |
| 15kg以上、30kg未満 | 300mgを1本 | 4週間に1回 |
| 5kg以上、15kg未満 | 200mgを1本 | 4週間に1回 |
注射なので痛みがないとは言えませんが、個人的な処方経験では重症なアトピー性皮膚炎であってもかなり有効な印象です。
もし、ひどいアトピー性皮膚炎でお悩みであれば、当クリニックへご相談ください。
ミチーガ
気管支喘息
喘息は、気道(肺に向かう空気の通り道)が慢性的な炎症などによって弱くなり、発作的に気道が狭くなることで咳や息苦しさが起こる病気です。
喘息は主にアレルギーが原因となるアトピー型喘息と、それ以外が原因となる非アトピー型喘息があります。
特に小児期の喘息では、成人と比較して気道が未熟であるために感染症や天候によっても症状が悪化することが少なくありません。
そのため、体の成熟によって喘息が良くなる場合もありますが、一部は成人期まで続くことがあるため観察が必要です。
治療について
喘息の治療は、発作を予防することで慢性的な炎症を管理することが目的になります。
小児期ではロイコトリエン拮抗薬の内服を行うことが多く、必要に応じて抗アレルギー薬の内服を追加します。
また、内服薬で良くならない場合にはステロイドの吸入を行うことで治療することもあります。
発作が起こってしまった場合には、気道を広げる薬(β刺激薬)を吸入することで症状を軽くすることができます。
ただし、症状が強い場合には吸入だけでは良くならず、入院が必要になることがあります。
その際には入院での治療が可能な医療機関への受診が推奨されます。
食物アレルギー
食物アレルギーは、主に食物を摂取することで引き起こされる免疫反応によって嘔吐や下痢、発疹などの症状が起きる病気です。
小児期では離乳食が始まった頃から食物アレルギーに気づかれることが多く、成長によって免疫や腸の機能が成熟することで食物アレルギー自体が良くなる場合もあります。
ただし、食物アレルギーには命に関わる思い症状(アナフィラキシー)を起こすことがあるため、専門的な知識を持つ小児科医師の指導を受けることをお勧めします。
治療について
食物アレルギーの治療は原因となる食物の摂取を調整(除去)することが重要です。
ただし、小児期では食物を完全に除去するよりも、症状が出ないくらい少量を摂取することで結果的にアレルギー症状が軽くなることが知られています。
実際にどの程度の量を食べることができるかを判断するには、医療機関で食物負荷試験を行う必要がありますので、ご相談ください。
もし、お子さんに食物アレルギーかもしれない症状が出た場合には医療機関を受診し、小児科医師の診察を受けてください。
その際に、お子さんの調子が悪そう(呼吸が苦しそう、嘔吐を繰り返す、ぐったりしている、顔色が悪いなど)であれば救急車を呼ぶことも考えてください。
#8000(こども医療でんわ相談)に症状を相談することも有効な方法です。